2003年8月10日
外は台風一過の青空だった。
家の中で寄り添っている二人。優が彼に背もたれる形で気持ち良さそうに座っていた。開けっ放しの窓から風が吹き込み、二人の髪がたなびいた。
ふと優が顔を上げた。
「もうすぐだね」
優の右肩の上から彼は顔をのぞき込んだ。その視線の先には、風に揺れていたカレンダーがあった。
「えっ…、あ、ああ、俺達が出会った日かな?」
「違うよ」
「じゃ、じゃあ…、優が去年……」
「もう…、違うよ」
そう言って優は顔と視線を下げる。
「あっ…」
「フッ…」
視線が合うと再び風が二人を包み込み、優しい表情を浮かべながらその一点を見つめていた。
「楽しみだね…」
カレンダーが風でめくられ、9月のところには、赤い丸印が付けられているところがあった。その日、二人は…