9月29日
「おはよう、ございます…」
週明けの月曜日だというのに眠そうな顔をして出勤する男が一人。
「おはよう。って…、随分眠そうだな」
眠そうな顔を向け挨拶を交わす。そしてコーヒーメーカーに向かい、
「おはよう。……随分くたびれているようだな」
ちょうど出来たコーヒーを持ち、顔を向ける上司。
「まぁ私も、落ち着くまでは体に堪えたからな。しばらくすれば慣れるよ」
「は、はい……」
コーヒーの匂いが眠気を少し和らげてくれる。彼もコーヒーを手に取り、
「誰だって、最初はああだったんだから。勉強と一緒だよ」
「確かに、そう考えれば私も親に相当迷惑かけたんでしょうね」
「そうだよ。それに…」
上司がコーヒーを一杯飲み、
「幸せになれた人だけが分かる苦労を、君は経験しているんだからね」
「あっ……」
「幸せ疲れって、やつだよ」
そう言って、上司はコーヒーを飲み干した。彼もコーヒーを口にやり、
「ただ仕事中に、寝ないでおくれよ」
最後にくぎを差し、上司は休憩室を後にした。