2000年12月
清泉女子短期大学では1年次対象の就職説明会が行われようとしていた。ここ最近の就職活動は前倒し傾向にあり、入学してからの期間より、まだ卒業するまでの時間の方が長いにも関わらず、この時期に再来年卒業見込みの生徒がこのような就職説明会を受けるようになっている。
大講堂の収容人数も考慮され、数日に渡って行われる就職説明会。優ももちろん、その例外ではない。
しかし、優がその説明会を受けるその日。
「おいっ、七瀬」
優が受講している科目の講師が大講堂と逆の方向に向かっている優を見て声をかける。
(?)
聞き覚えのある声をかけられ思わず講師の方に顔を向ける
「お前今日は就職説明会じゃなかったのか?」
「……あっ、そうだったね」
「そうだったねって…」
「でも…、私にはその必要はないよ」
「必要ないって、お前最近は…」
講師が説明をしようとしたが、優はそのまま人の波とは逆の方、玄関へと歩き出していた。
「って、おい。七瀬!」
口調が激しくなった講師の声に応えてか、再び講師の方に振り向く優。そして、優しい表情を向けて
「私の未来は、もう、決まっているから…」