2002年3月
天河大学の卒業式の日。
春の陽気が徐々に感じられるようになったこの日、彼は両親に見守られ、学生としての最後の瞬間を過ごしていた。
全ての用事を済ませ、両親と共に校舎を後にする彼。
そしてその彼を校門で待っている女性。
両親は息子を彼女の所へと促した。
「待たせちゃった?」
「ううん、全然。それより、卒業おめでとう」
「ありがとう」
「あっ、あのさ、優…」
「?」
「俺、俺さ…」
何か言いにくそうな感じで、優に語りかける彼。
「ちょっと待って…」
「えっ?」
「だから、ちょっと待って」
「…うん…」
少し残念そうな表情を浮かべる彼。優はその顔を見て、
「大丈夫だよ」
「?」
「私の気持ちは、もう変わらないから…」
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