「ねぇ、これ」
(!?)
優の視線の先にあったのは、あの日、手摺に書き残したメッセージだった。
ゴメン ユウ サヨナラ
「キミが居なくなったあの日、私、夢を見ていたのかと思った。でも、これがキミと私を繋ぎ留めてくれたから、キミを信じることが出来たんだ」
「あの時は本当にゴメン。はっきり言い出せなくて」
「いいんだよ。キミは、私の悲しむ顔を見たくなかったんでしょ」
「う、うん」
「だったら、一つ約束してくれる」
「約束?」
「もう、サヨナラなんて、言わないよね」
「当たり前だよ…」
それだけ聞くと、優は彼の話の続きを引き留め、
「いや…、言わせはしないよ」
「えっ…」
そう言って、優は手摺に触れ、メッセージを消し去った。全ての不安を拭い去るように。
「キミさえよければ、良いんだけど」
「私…」
「私……」
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