それは、灯台の回転灯の音や、波の音をうち消しつつも、彼の耳にだけ届くように、ささやかに発した声だった。
「聞こえなかった? 何度でも、言ってあげるよ」
わずかな光の中でも、優の顔が紅潮しているのが分かった。そして、
「優…」
彼は力一杯、優を抱きしめた。
「キミからの答え、確かに受け取ったよ。もうこれからは、キミがどこに行っても、ずっと一緒だよ」
「優、大好きだよ…」
そう言うと、いったん彼は手の力を緩めた。お互いの視線が合い、自然と優の瞼が閉じる。彼の顔が優に近づき、一瞬だが永遠とも言える間、口付けを交わした。
「あっ…」「あっ…」
互いの顔が離れ、目を見開いたそのとき、暗闇の夜空から一筋の閃光が走った。
「フッ…、星が私たちを祝福してくれているよ」
ペルセウス座流星群の極大日には少し早かったが、雲の切れ間から二つの流星をお互いが確認した。
「それと、ここで言えて良かったよ。ここは、二人だけの秘密の場所だから…」
「そうだね」
「優、もう一度、言ってくれるかな?」
「えっ…」
「もう一度、言ってくれるかな?」
彼は確かめたかった。今という名の、幸せというものを。
「フッ…、いいよ」
「私、キミと…」
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